LIFE RECORD ARCHITECTS

宮城ふるさとプラザ(仮設)

店舗/リノベーション

解体のその先まで、循環する仮設建築

2005年7月、東京・池袋に開店した宮城県のアンテナショップ「宮城ふるさとプラザ」は、長年にわたり首都圏の方々へ宮城の魅力を届け、親しまれてきました。しかし、2024年12月をもって池袋での営業は終了。存続を望む多くの声に後押しされ、クラウドファンディングによる支援を得て、2025年1月、日本橋茅場町に期間限定の仮設店舗として再出発することとなりました。運営はこれまでと同様に公益社団法人宮城県物産振興協会が担い、独自の店舗として新たな一歩を踏み出しました。
本計画では、期間限定という時間的制約を前提に、建築として何ができるかが問われました。恒久性を前提としない空間において、いかに地域のアイデンティティを体現し、かつ機能的に成立させるか。その設計思考は、縮減と再編集から始まりました。
池袋時代に取り扱っていた膨大な商品群を、コンパクトな仮設空間へと再構築するため、商品構成を丁寧に精査し、棚や冷蔵ショーケースの配置を組み立て直しました。限られた面積のなかで視認性と回遊性を確保し、物産の多様性を感じられる密度の高い空間を目指しています。
仮設であることは制約であると同時に、コンセプトを純化する契機でもありました。主要什器にはダンボールを採用し、リニューアルされた宮城県物産振興協会のロゴマークのデザインを踏襲したグラフィックを展開しています。それらを組み立てることで、売場でありながら象徴的なビジュアルアイコンとなるメイン商品棚を構成しました。軽量で可変性のある素材を用いることで、仮設性をポジティブに表現しています。
さらに、吹抜けの高い天井空間を活用し、東北三大祭りの一つである仙台七夕祭りの吹き流しを想起させる巨大照明を制作しました。和紙にビジュアルデザインを印刷し、光を透過させることで、祭りの高揚感と宮城の記憶を空間全体に漂わせています。物販空間にとどまらず、地域文化を体験として伝える装置としました。
本計画において重要視したのは、「終わり方」までを含めた設計です。什器として使用したダンボールや、照明に用いた和紙は、役目を終えた後、クラウドファンディングでご支援いただいた方々へ商品を配送するための梱包材や包装紙として再利用することを前提にデザインしています。仮設であるがゆえに生じる廃棄を最小限に抑え、素材が次の役割へと循環する構成としました。時間とともに解体される建築を、消費される存在ではなく、連鎖するメディアとして捉え直しています。
宮城ふるさとプラザ仮設店舗は、2025年7月をもってその役目を終え、8月からは有楽町に実店舗を構えることに成功しました。本計画は、単なる期間限定店舗ではなく、地域と都市をつなぐ接点を、建築的思考によって再編した試みでした。
物理的な場は閉じても、発信の仕組みと記憶は形を変えて受け継がれていきます。本計画は、仮設という条件のもとで、建築が社会とどのように関わり続けられるかを問い直す実践となりました。

所在地:東京都中央区日本橋茅場町
構造:RC造
竣工日:2025年1月
設計施工:LRinc.(川上謙)
グラフィックデザイン:BRANDING DESIGN BRIGHT

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