









店舗/リノベーション
惜しまれつつも閉店した「宮城ふるさとプラザ」池袋店の後継店が仮設店舗を経て2025年8月に有楽町東京交通会館に本設店として再出発しました。
商業施設という匿名性の強い環境の中で、いかに「宮城」という固有性を立ち上げるか。本計画は、物販空間を単なる陳列の場ではなく、産地と都市を接続する「媒介空間」として再定義することから始まっています。
ファサードは白を基調とした漆喰仕上げとし、日本の地図の輪郭を珪砂入り漆喰で立体的に表現。海の部分はフラットに塗り分け、同じ白の中に繊細な陰影を生み出しています。記号に頼らず、素材の差異によって土地の輪郭を感じさせています。開口部には青から緑へと移ろう優しく軽やかな和紙の暖簾を設え、通路との境界をやわらかく媒介しながら、静かな結界をつくり出します。
内部は断面的な構成とし、下層を「海・川」、上層を「山・大地」と捉えて色彩を整理。淡いブルーの什器が“海面”のように連続し、その上に商品が浮かび上がる構図としています。既存天井は活かしつつも、緑の鉄骨格子を加えることで編集可能な構造としました。
宮城県35市町村の産品は、この空間で一度フラットに再編集され、都市へと再接続されます。モジュール化された什器は将来的な再構成にも対応し、恒久施設でありながら更新され続ける余白を内包した構成です。
物産店のデザインはしばしば華美な装飾に傾きがちですが、素材・断面・光といった建築的要素によって、商品と土地、人との関係性を静かに浮かび上がらせる試みです。都市の内部に挿入されたもう一つの風土として、ここは物を売る場であると同時に、産地の輪郭を丁寧に描き出す建築です。