自由な平面
この仕事をしていると「リノベーションって新築よりも間取りを自由にできないよね」と聞く事がよくあります。
確かにマンションリノベを設計する上でマンションの規定を守ることは絶対条件。
例えば構造躯体を壊すことはできない上、特別な許可が無ければ既存のサッシや玄関ドアを交換することは出来ません。
しかし、一度スケルトンにしてしまえば水回りの位置も大きく移動ができ、間取りだって自由に変える事が出来ます。
今までは「誰のために」作られたのか分からなかった空間が、「自分たちのため」の空間に作り変える事ができる。考え方によっては新築よりも自由だし、「既存を生かせる」という点では新築よりも勝っているとも思います。(もちろん新築が悪いという話では無い)
さて、そんな自邸も自由に平面を考えています。
自分たちの住まいであり、そしてLRの仕事場として計画しているため、プライベートとパブリックの切り替えが出来る家を考えています。
壁を設けて空間を遮断するのではなく、ひとつなぎになっている空間の床の素材の硬さを変える事で居場所の心地良さに変化を設け平面を分けています。
例えば完全に休む時はフカフカのソファ、ゆっくりしたい時は柔らかい畳、ちょっと活動的な時は無垢のフローリング、仕事する時は硬い土間の上。と言ったように体にかかる負担の違いによって空間が緩やかに分けられることを目指しています。
さらに切り替えのON/OFFが建具の開閉やそのガラスの種類や高さによって容易に行えるような仕組みを考えています。
建具は二重サッシも含めて全てこだわりの造作なので今からとてもワクワクです。
そして何よりも大切にしている事が回遊性がある事。
家事動線としての回遊性だけでなく、マンションでは停滞しがちな空気を循環し、風が各部屋を通り抜ける事でエアコン付けなくても気持ちよく暮らせる家を目指しました。
高めた断熱性能を最大限に発揮できるような「自由な平面」です。
LR 川上
2018.06.12 |
マンションリノベの断熱基準を考える
省エネルギー住宅で大幅な遅れを取っている日本ですが、ようやく2020年には省エネ住宅の義務化が法律で決まり、断熱性能の低い建物は建てられない時代に突入します。
ですが、それはあくまで新しい建物いわば「新築住宅」にしか当てはまりません。
年間100万棟の新築が建てられる日本ですが、既存の住宅は空き家も含めると約5000万戸も存在します。新築の住宅性能を上げる事はもちろん、今ある住宅の断熱を考えなければ日本の環境事情は変わらないという事です。
恩師の竹内教授をはじめ、多くの先輩方が省エネ住宅を目指し、設計し、新築住宅における断熱基準を作ってきました。「新築の住宅であればこれくらい必要だ」という目安が数値化されて来たので作り手のみならず、施主としても分かりやすい指標があるのはとても安心感があります。
しかし、マンションリノベにおける分かりやすい断熱基準はまだ足りないように思います。この先胸を張ってお客様にご案内できるよう、自邸を施行する上でこれからのマンションリノベの断熱改修の基準を作るべく、きちんとした断熱を検討して設計を行なっています。
いよいよ本格的に工事が始まり、本日はその断熱改修工事を行いました。
既存の断熱材を含めて外部と面する壁に約80mmの発泡ウレタンを吹き付けます。
加えて今回は最下階なので床下に断熱を入れ、これから造作の木製二重サッシを製作する予定です。
今回のリノベで見込める外皮性能を計算したところ、外皮平均熱貫流率(UA値)0.32という算定値となりました(※隣接住戸も同等の躯体断熱がされたものとして熱橋を計算)。
これがどういう数値かというと、仙台では0.75を基準としており、最も寒い北海道でも0.46を基準としています。(ちなみに数値が小さい方が性能が良い)
この数値が一体体感としてどのように感じられるのか。完成した際にみなさんにも体験していただき、断熱改修の良さが伝わるような家に仕上げていきたいと考えています。
LR川上
2018.06.01 |
自宅リノベ
僕が仙台でリノベーションの設計や施工を始めてからかれこれ10年近くになりますが、仙台で活動を始めた当初は「リノベーション」という言葉自体が普及しておらず、「どうしたらリノベーションを伝える事が出来るのだろう?」と日々悩みながら活動してた事を思い出します。
その時と比べればだいぶ「リノベーション」という言葉は仙台でも浸透してきたように感じます。
また、ここ数年で空き家問題や人口減少など様々な社会問題が浮き彫りとなり、ますますリノベが注目されていく時代に突入しました。
この仕事をしている以上は自身で住まいを考え、たくさんの方に体感していただく場所を作りたいと思い、仙台市内にマンション一室を購入し自邸をリノベする事を決めました。
これからブログを通して自分たちの考えやプロセスをお伝えして行こうと思います。
LR 川上
2018.05.17 |